「日本型ユニバーサルデザインを考える」
                                梶本 久夫 氏
           (佐賀ユニバーサルデザイン推進会議アドバイザー、㈱ジィー・バイ・ケイ代表取締役)

                                     
 Think Globally Act Locally -「地球規模で考え、地域で行動する」というのはエコロジーのキーワードだが、ユニバーサルデザインにも当てはまる。地球上どこでも、「ユニバーサルデザインが一人ひとりの命が輝く社会をつくるための処方箋」ということでは同じだとしても、実現の方法は、地域により千差万別である。
 アメリカ生まれのユニバーサルデザインの概念は、日本の風土に合わせて咀嚼し、言い換える必要がある。アメリカでは、「基本的人権」という哲学に立脚した障害者福祉に焦点が置かれているが、日本ではむしろ高齢社会が軸足にある。そして、「個人の権利」に基づくものではなく、障害のある人や高齢者に対しても「われわれは仲間なのだ」という日本独特の家族主義・仲間意識を表に出して取り組んだ方が受け入れやすいと考える。
 地球全体でみると日本国は地域、日本国を全体とすると都道府県は地域、そのそれぞれの地域では人々の顔が見えるコミュニティが地域となる。日本型ユニバーサルデザインは、地域での小さな取り組みの重なりの中から、そのカタチが見えてくるのである。
 ユニバーサルデザインは、初めは製品づくり、建物づくり、まちづくりのハードウェアを中心に考えられてきた。今でも、建物・土木、インテリア環境などの施設計画では、アクセシビリティ(障害のある人の利用可能・接近可能性)と認識されることが多い。
 しかし、我々は少しずつ認識を改めてきている。ハードウェアを考えるには、それを設置し、また運営するためのソフトウェア、つまり理念や制度、仕組みがしっかり整っていなければならないということである。
 また、ユニバーサルデザインを一時的な流行語のように掲げ、奇をてらう道具にしてはならない。個々人の多様性が尊重されながらも目的に見合うハイブリットな社会がユニバーサルデザイン社会である。