「空港のユニバーサルデザイン新時代」
                                秋山 哲男 氏
           (佐賀ユニバーサルデザイン推進会議アドバイザー、日本福祉まちづくり学会副会長)

                                     
 2010年10月21日に開港した羽田国際空港は、4年間をかけて積み上げたユニバーサルデザイン設計の成果によってできた空港である。中部国際空港を見習い、2006年から4年をかけて開いた10回の委員会と38回の障害当事者と専門家によるワークショップに負うところが大きい。
 第一の特徴は「継続的チェック」である。つまり設計中の障害者参加による整備はもちろんのこと、開港以後も継続してユニバーサルデザインの観点から問題点を解決する方法が取られた。第二の特徴は「空港職員全員がコンシェルジェ」という新しい考え方、つまり障害をお持ちの人に対しての接遇・介助など人的対応を重視していること。第三は、今までの公共交通の整備で弱かった情報系の整備、特に聴覚障害者の対応が一歩前進したことである。
 今回の設計の成果は、何と言っても聴覚障害者4人と専門家によるワークショップから引き出されたさまざまな課題をTIAT(東京国際ターミナル株式会社)が丁寧に解きほぐし、対応を図ったことである。その事例を3つ紹介してみたい。
 ①空港の案内施設・磁気ループ ~
   障害をお持ちの人が迷った場合のインフォーメーションセンターにいくつかの設備を設置した。その一つ
   が、難聴の方とのコミュニケーションができる磁気ループシステムである。また簡単な会話が指差しできる
   絵写真と文字で構成されているコミュニケーションボードである。
 ②エレベーターの緊急対応 ~ 
   鉄道駅やバスターミナルなどでの緊急時のトラブル対応がなかなかできない。エレベーターの緊急時のボ
   タンを押して待つと、係の人が駆け付け、必要な内容を例えば「あと5分で復旧します」など紙によって利
   用者に知らせる。
 ③緊急時のトイレのフラッシュライト ~
   聴覚障害者がトイレの個室に入っているときに火災などが発生した場合の、緊急時の黄色のフラッシュの
   点滅により何かが起こったことを知らせる。
 こうしたことはほんの一部だが、羽田国際空港はユニバーサルデザイン新時代の到来を告げている。