ユニバーサルデザインで、暮らしやすい佐賀県を!(細山雅一さん)

 松下電器産業(株)でユニバーサルデザインのものづくりをリードしてきた豊富な経験と実績をもとに、「一人ひとりが暮らしやすく楽しく過ごせるようなものづくりや環境づくり」に向けて、現在コンサルティングなどで活躍されている細山雅一さんに、ユニバーサルデザインについて語っていただきました。


特別寄稿者 細山雅一さん
細山UD-Unit代表
佐賀ユニバーサルデザイン推進会議アドバイザー
1970年松下電器産業入社後、2002年松下電器産業(株)パナソニックデザイン社UD担当、2005年社内マスターズ講師に認定。日本社会全体のUD推進や国内外の情報発信等を目的とするIAUD(国際UD協議会)の立上げに携わるなど活躍多数。
2006年松下電器産業退社後も、UDの社会づくりに向けて各方面で活躍中。

細山雅一オフィシャルサイト http://www.hosoyamaudu.com


 ユニバーサルデザイン(Universal Design)と言う言葉を最近良く、耳にしませんか?
 それは「年齢や障害の有無などに関わりなく、誰もが使える様に、最初から意図して商品やサービスをデザインすること」を意味します。
 つまり、初めから多様な特性を持った人(見えなかったり聴こえなかったり、手足が自由に動かなかったり)の存在を認め、受け入れ、皆が同じように快適に使えるものを作るという「ものづくりの思想・基本要件」です。
 日本は(佐賀県も)急速に高齢化が進み、体力や知力の衰えを感じる人が増えていることに加え、デジタル化・情報技術革新や新たなサービスの登場により、便利さだけでなく、不便さも拡大していることから、ユニバーサルデザインを理解したものづくりをすすめる重要性が増してきているといえます。

 私が永年勤務した、松下電器産業では、回転する洗濯槽を斜めにし、洗濯ものの取り出しを楽にしたドラム式洗濯乾燥機を4年ほど前に開発しました。腰への負担を軽くし、車椅子の人でも、子供さんでも使いやすいなど、ユニバーサルデザインの、先進事例として高い好評を得ています。



 また、エアコンにも新たな工夫が見られます。フィルターのごみを自動的に掃除し室外に排出するエアコン、高い処に設置される室内機のフィルター掃除を10年も不要にし、作業の手間を省き、安全性も向上しました。カビやハウスダストが溜まる心配もなく、クリーンで清潔です。また、常にフィルターが綺麗なので省エネにもなります。

 これらの商品は、決して高齢者や障害者のためだけに、開発されたものではありません。みんなが普段使う機器ほど、使いやすく快適でなければならないとの考え方で作られたものなのです。
 日本には古くから、ユニバーサルデザインに通じる、優れたものが伝えられています。
 その一つが風呂敷。真四角に近い1枚の布ですが、球形のスイカも一升瓶も四角い箱も、美しく包むことが出来ます、使わない時は、折りたたんで小さくなり軽くて持ち運びにも便利です。日本建築は、障子や襖を多用することで、個室や大広間など自在な空間を作ってきました。扇子も、日本の発明品でコンパクトに折りたため、手軽に風を起こせる優れたユニバーサルデザイン商品といえましょう。
 このように、我々は先人の知恵から大きなヒントを得ることが出来るのです。
 佐賀県は、伝統のある日本文化を継承してきた豊かな地域です。先人の知恵を活かし、それに新たな技術やアイディアを加え、一人一人が暮らしやすい社会を作っていくことが、今を生きる我々の使命ではないでしょうか。
 そして、誰もが年齢を重ねていきます。他人事としてではなく、自分の未来を快適に過ごすためにも、今からユニバーサルデザインで満たされた、暮らしやすい佐賀県を作って参りましょう。
 私もこれまでのものづくりの経験を基に、微力ながらお手伝いさせていただきます。