メールマガジン「佐賀UD通信」第14号

 ユニバーサルデザイン(UD)は「人にやさしいデザイン」。全ての年齢や能力の人々に対して、できるだけ利用しやすい製品や環境をデザインするという考え方です。佐賀県は「三世代みんなが安心して暮らせるまち」を目指して、ユニバーサルデザインを積極的に推進しています。

目次(index)

        学校教育におけるユニバーサルデザイン(UD)教育を推進していきます

        特別支援学校の子ども達との「こころ」と「こころ」の交流~共生社会の礎として~

1 連載コラム「さがUDカフェ」(6号店)

 連載コラム「さがUDカフェ」は、佐賀県が推進している「ユニバーサルデザイン(UD)」について、担当部署の課長に登場いただき、様々な取組の現在(いま)を皆さまにご紹介するコーナーです。
 「さがUDカフェ」6号店は、次世代を担う子ども達へのユニバーサルデザイン教育の取組についてご紹介します。


写真:平山又一さん

学校教育におけるユニバーサルデザイン(UD)教育を推進していきます


佐賀県教育庁学校教育課長 平山 又一


写真1:高齢者擬似体験装具で見えにくさを実感
写真2:UD文具の工夫や使いやすさを実感
写真3:地域のお年寄りとの交流を通して思いやりの心を育みます

 

 佐賀県教育委員会では、学校教育の中でUDの視点に立った取組を実施し、子どもたちのUDへの理解を深めていくことを、「佐賀県教育の基本方針」に掲げて推進してきました。

 現在、県内の各学校では、次のような取組が行われています。

・疑似体験装具などを使って障害者や高齢者の体験をする。
・障害者、高齢者、子育て中の方(妊婦のときの体験談も含む)などに、日常生活や移動する際に困ったことなどについて具体的に話を聞く。

・左右両用の文具や、手の力が弱くても持ちやすい食器などを実際に扱って体験する。
・UDを取り入れた製品・建物・道路などのアイデアを、自分たちで考える。

・学校や店舗、公園、道路などを調査して、色々な立場の人の視点から見直して、使いにくいところや、多くの人が使いやすいよう工夫されたところを発見する。
・自分たちの住むまちの、学校や店舗、公園、道路などで、どういうところを変えれば、もっと多くの人が住みやすくなるかを、自分たちで考える。
・その結果を保護者や地域の人、地元の市町長などに報告する。

・高等学校でUDの紙芝居やかるたをつくり、小・中学生などに啓発活動を行う。

 佐賀県教育委員会では、このような学校の取組を支援し、未来を担う子どもたちが、人間の多様な個性や違いを理解して、当たり前のものとして身につけ、相手を尊重する意識や思いやりの心を育んでいきたいと考えています。 

関連リンクなど

2 連載コラム「さがUDカフェ」(7号店)

 次は、特別支援学校に在籍するチャレンジド(※)の子ども達と地域の小・中学校等の子ども達との「交流及び共同学習」の取組についてご紹介します。

(※)チャレンジドとは、アメリカで障害者(ハンディキャップド・ピープル)という呼称に替えて生まれた言葉で「神から挑戦するという使命・課題・チャンスを与えられた人」という意味が込められています。


写真:坂本兼吾さん

特別支援学校の子ども達との「こころ」と「こころ」の交流

 ~共生社会の礎として(交流及び共同学習)~


佐賀県教育庁教育政策課長 坂本兼吾


写真:地域の高校生が音楽会を行い、特別支援学校の児童と楽器演奏を楽しみながら交流する様子
写真2:木の実や落ち葉ひろいをしながら交流をする子どもたち
写真3:古新聞を使って紙遊びを楽しむ子どもたちの様子

 

 佐賀県教育委員会では、特別支援学校の子ども達と地域の学校の子ども達などが、交流を行う「交流及び共同学習」に取り組んでいます。この交流は、県立特別支援学校8校すべてで行っています。

 交流及び共同学習には、「学校間交流」と「居住地校交流」があります。

 「学校間交流」では、特別支援学校に在籍する子ども達と特別支援学校のある地域の小・中学校等の子ども達が交流を行います。子ども達は、調理をしたり、プールで泳いだり、また歌やダンスなどを行い楽しく交流しています。子ども同士、徐々に打ち解けて、互いに協力しあい、楽しんでいる様子を見ることができます。

 また、地域の小・中学校の子ども達にとっては、車いす体験や手話など普段あまり体験しない活動もあり、障害のある子ども達の立場になって考える貴重な学習の場にもなっています。学校によっては、ボランティア協議会とも連携して地域の方々にも参加いただきき、障害に対する理解啓発の機会ともなっています。

 「居住地校交流」では、特別支援学校に在籍する子ども達が、居住する地域の小・中学校に出向いて交流を行います。子ども達は、国語や音楽などの学習をしたり、運動会や文化祭などへ参加します。

 特に、この交流は、特別支援学校の子ども達が住んでいる地域での交流ですので、交流を通してお互いを知り、地域で共に暮らす仲間意識を高める良い機会となっています。中には、交流した学校の子ども達が、特別支援学校の子どもの家に遊びに行ったという、こころ温まる話もあります。

 このように交流及び共同学習は、互いを理解し、こころのバリアフリーを社会に根ざすための活動です。今後もこの活動を通じ、障害のある方もない方も、手を携えあって共に暮らしていく社会づくりを推進していきます。 

関連リンク

 

 平山課長さん、坂本課長さん、ご紹介ありがとうございました。
 佐賀県知事の古川康さんも、チャレンジドの皆さんが地域社会で共に暮らしていることを子ども達に教育することの重要性について、ある知人との会話を紹介しながら指摘しています。(ご興味のある方は「佐賀県知事古川康のパワフルコム」のメールマガジンのバックナンバー「週刊yasushi第295号~ある土曜日の夜に~」をご覧ください。)
 このような取組を通じて次世代を担う子ども達の中に、人間と社会に対する豊かな感性や洞察力が育まれていくことを期待したいですね。

 

編集後記

 3月24日に開催した「さがUDフェスタ2009」(主催:佐賀県)。前熊本県知事の潮谷義子さんをお招きした講演「一人ひとりが輝くユニバーサル社会」の中で、同氏は次のようなことを指摘された。
 「地域社会で増えていくお年寄りを自らの中に捉え、老いた人との世代間の交流をすることなくして、設計や建築、広報やサービスに携わる人たちがUDを発想できるのか。将来を見通して今何をすべきかを見出せるのか。」
 「UDという精神性の中には、多様な人々の存在を捉えることができ、その人たちを包み込むことができる、そういった社会づくりが当たり前になっていないといけない。それなのに、今はそれが非常に遠くなってきているような気がしています。」
 人々の存在の多様性を理解し、認め、それぞれの個性や可能性を尊重しながら、全ての人を地域社会に包み込んでいく。そのような社会を創っていこうという考え方、いわゆる「ソーシャル・インクルージョン」の視点を持つことが重要であるということだろう。
 子どもたちへの教育を通して、または県民・企業・CSO・行政との協働を通して、潮谷さんが指摘された懸念をどれだけ払拭していくことができるのか。ユニバーサルデザインという言葉は、私たちの地域社会に対して、このようなことを問いかけているような気がします。


 メールマガジン「佐賀UD通信」第14号(平成21年4月8日発行)